施設に入った親の実家はどうする?売る・貸す・残すを決める前の比較
親の施設入居後の実家を、売る・貸す・残すで迷うご家族へ。本人の希望、初期費用、12か月の負担、管理する人を比べるメモと、相談前に確かめたい条件を紹介します。

実家の扱いは、ご本人の希望と家族が続けられる管理から考えます。
親が施設へ入った後、住まなくなった実家を売るか、貸すか、残しておくか。まず、ご本人や家族が使う予定、お金が必要になる時期、管理を担える人を話し合います。
使う予定がなく管理が難しいなら売却を、家を持ち続けながら収入を得たいなら賃貸を検討できます。方針を決めるまで保有する場合にも、税や維持費の支払いと見回りは続きます。それぞれに必要な準備と、家計に出入りするお金を比べてみましょう。
家を使う予定とお金が必要な時期を話す
ご本人が実家へ戻ることを望んでいるか、家族が住む予定があるかを確かめます。家そのものを残したいのか、思い出の品を手元に置きたいのかでも、選べる方法は変わります。戻れるかどうかは施設の種類だけで決めず、ご本人や介護を支える方と住まいに必要な条件を話し合いましょう。
施設費などの支払日が決まっている場合は、必要な金額と時期も書き出します。売却代金を受け取るまでの期間や、賃貸を始める前の補修費を考えるための材料になります。
登記に関する書類などで、所有名義も確かめておきます。家族が情報収集をする段階と、本人に代わって契約を結ぶ段階では必要な権限が異なります。契約前の確認事項は後半で説明します。
売る・貸す・残す。それぞれに続く負担は?
売る:まとまった資金と家を手放す時期を考える
今後使う予定がなく、施設での暮らしに必要な資金を確保したい場合は、売却を検討できます。ただし、査定価格がそのまま手元に残るわけではありません。売却にかかる諸費用、必要な片付けや補修、残っているローン、税金などを踏まえて見通しを立てます。
買主が決まる時期や引渡しまでの期間も物件によって異なります。費用の支払日が先に決まっているなら、「いくらで売れそうか」と「いつ資金を受け取れそうか」を分けて相談することが大切です。売った後に再び実家を使うことはできないため、ご本人の希望と時期をすり合わせておきましょう。
貸す:家を残せる一方で貸主としての対応が続く
借り手が見込める家なら、所有を続けながら家賃収入を得る方法があります。一方で、募集前の補修や清掃、入居中の修繕、管理の費用、空室の期間も考える必要があります。家賃の全額を施設費用へ回せるとは限りません。
また、「必要になったらすぐ戻れる」とは限りません。普通借家では、貸主の都合だけで直ちに退去を求めることはできません。定期借家は、必要な契約手続きや終了通知などを踏まえ、定めた期間の満了で終了する仕組みです。将来ご本人や家族が使う可能性があるなら、普通借家・定期借家の違いと契約期間を、貸し出す前に不動産会社へ相談しましょう。
残す:使う可能性を保つための管理を決める
本人が戻ることや、家族が住むことを検討している場合は、当面残す選択もあります。その間も固定資産税や保険料などの支出、建物・敷地の手入れは続きます。マンションでは管理費や修繕積立金も確認しましょう。
屋根・外壁・設備に傷みがあれば、再び住むための補修も必要になります。国土交通省の空き家管理チェックリストは、見回りで確認する箇所を考える参考になります。自分で管理するのが難しい場合は、管理業者等の利用も含めて検討します。

今後12か月の負担を書き出してみる
次の表は、ご家族の金額を書き込むためのメモです。相場表ではありません。比べる期間を同じ12か月にそろえ、最初に一度かかる費用と、毎年続く費用を分けます。分からない欄は「未確認」と書き、0円として合計しないでください。
比較する期間:__年__月〜__年__月/金額の単位:円
| 記入する項目 | 金額・条件のメモ |
|---|---|
| ① 売却の見通し | 売却代金の見込み:__円 諸費用・必要な作業費:__円 ローン残高:__円/税金:__円 手元資金と受取時期:__ |
| ② 貸す前の一時費用 | 補修・清掃・募集等:__円 開始できる時期:__ 未見積の作業:__ |
| ③ 残す前に必要な一時費用 | 安全確保・補修等:__円 未見積の作業:__ |
| ④ 固定資産税等・保険料(12か月) | 貸す場合:__円 残す場合:__円 マンションの管理費・修繕積立金も含める |
| ⑤ 管理・維持費(12か月) | 貸す場合:__円 残す場合:__円 管理委託・修繕・光熱費・交通費等。②③④との重複を除く |
| ⑥ 家賃収入の見込み(12か月) | 月額家賃:__円 × 入居を見込む月数:__か月 =__円 募集期間・空室を織り込む |
| ⑦ 別に備えるお金 | ローン返済:__円/12か月 想定外の修繕・空室への備え:__円 金額が決まらない項目:__ |
保有の12か月の支出は、固定資産税等・保険料と管理・維持費を合計し、必要な一時費用を別に足します。貸す場合の継続収支は「見込む家賃収入−固定資産税等・保険料−管理・維持費」です。募集前の補修などの一時費用もまかなえるか確かめます。同じ修繕費を初期費用と維持費の両方に計上しないようにしてください。
これは家計に出入りするお金の比較用で、税務上の所得計算や利益の保証ではありません。賃貸所得にかかる税金は、このメモの収支には含めていません。ローン返済があれば資金繰りの支出として加え、賃貸に出せる契約か金融機関にも確認してください。空室や大きな修繕が生じた場合に備えた資金も別に考えます。売却後の手元資金と、賃貸の1年分の収支は性質が異なるため、金額の大小だけで優劣を決めないことが大切です。
固定資産税等・保険料は通知書や契約先へ、売却の諸費用や貸し出す前の補修は不動産会社などへ確かめます。家族の交通費と現地へ通う日数も書き添えると、金額と作業の両面から続けられるかを話し合えます。
まだ決めない場合も管理する人と見直す日を決める
まだ決められない場合は、売却価格や補修費など、足りない情報を集める期間を設ける方法があります。その間の管理と、次に話し合う日を決めておきましょう。
- 誰が現地を見回り、傷みや郵便物、庭の状態を確認するか
- 税・保険・管理の費用を、誰が支払い、家族へ共有するか
- 破損などが見つかったとき、誰へ連絡して対応を決めるか
- いつ話し合い直すか。その日までに何の見積もりや情報を集めるか
たとえば次の話し合いまでに、売却後の手元資金の見込みと、貸す前に必要な補修費を集めます。本人の使い方や管理を担う人の都合が変わったときも、その条件に合わせて方針を見直します。
契約前に確かめたい権限と税の期限
本人の意思の確かめ方や代理権に不安がある場合は、司法書士・弁護士などへご相談ください。成年後見人等が本人の居住用不動産を売る・貸す場合は、家庭裁判所の許可が必要です。施設入所前に住んでいた家なども対象で、保佐人・補助人には該当する代理権も必要です。施設に入ったすべての家庭に一律で許可が必要な制度ではありません。詳しくは裁判所の手続案内をご覧ください。
ただし、保有を続ける期間は税の条件にも関わります。以前の自宅を売る場合の3,000万円特別控除には、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る、などの要件があります。期限内なら必ず使える制度ではありません。施設入居日から一律に判断せず、住まなくなった時期と利用状況を税務署・税理士へ伝えて確認してください。
実家の状況と迷っている点からご相談ください
売却や賃貸管理を相談するときは、実家の所在地、名義、ご本人の希望、使う予定、管理や費用で困っていることを、分かる範囲でお伝えください。売却を考え始めたものの家財が残っている場合は、片付け前の売却相談の記事もご覧いただけます。
ラフリレーションでは、不動産の売却と、入居者募集・契約更新・退去立会い・清掃・原状回復などの賃貸管理についてご相談を承っています。対応内容は、不動産売却のご案内と賃貸・管理のご案内をご覧ください。物件の所在地や状態による対応範囲・費用は、個別にご確認いただけます。
売却代金と受取時期を知りたい方は、お問い合わせフォームの「売却相談」へ。貸し出す準備や管理業務を相談したい方は「賃貸管理相談」を選び、実家の状況と、まだ決められていない点をお寄せください。お問い合わせページには、お電話と不動産相談のLINEも掲載しています。
フォームはお名前・メールアドレス・相談内容・詳細の入力と、個人情報の取扱いへの同意が必要です。電話番号は任意です。ご相談内容をもとに、必要なご連絡を差し上げます。
参考資料
国土交通省「空き家の管理のやり方」「賃貸住宅の入居・退去に係る留意点」「定期借家権に関するQ&A」
裁判所「居住用不動産の処分についての許可」/国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
資料確認日:2026年10月18日
