コラム一覧

退去後の原状回復と清掃はどう進める?費用負担・工事・再募集の順番

賃貸の退去後、原状回復と清掃の違いから、現況写真、負担協議、見積、工事、再募集までをオーナー向けに順番で解説します。記入できる確認表付きです。

退去後の空室を確認し、原状回復・清掃・再募集の順番を整理する賃貸オーナー

退去後の清掃や補修を進めるときは、作業前の室内を記録することから始めます。どの作業が必要かと、その費用を誰が負担するかは、それぞれ確認が必要です。借主との精算と、次の募集に向けてオーナーが行う工事を区別し、見積と予定に結び付けていきます。

清掃前の室内と契約の記録をそろえる

清掃・補修の後では、傷や汚れの場所と範囲を確かめにくくなります。荷物の搬出後、作業を始める前に、部屋全体と気になる箇所の写真を残します。入居時の写真や室内確認記録、賃貸借契約書と特約、修繕・設備交換の履歴もそろえてください。

写真は撮影日と場所が分かる名前で保管します。たとえば「洋室東側・窓横・床から約1メートル」と場所を記し、写真番号を見積の項目と対応させると、借主への説明や作業後の確認に使えます。入居時の記録がない箇所は、いつ生じた傷かを写真だけで決めつけず、確認できる資料を基に協議します。

原状回復と清掃は費用の名前だけでは区別できない

原状回復は、借主が入居時の新品状態へ一律に戻すことではありません。通常損耗や経年変化と、故意・過失などによる損傷を区別し、契約の内容や部屋の状態に応じて回復範囲と負担を考えます。清掃は汚れを落とす作業で、原状回復の一部に含まれる場合もあります。

観点 原状回復 清掃
目的 契約終了時の損耗・毀損について、回復範囲と費用負担を整理する 汚れを落とし、室内を使える状態・募集できる状態へ整える
主な確認 契約書、特約、入退去時の記録、使用期間、損傷の原因と範囲 汚れの種類、清掃範囲、設備の状態、仕上がりの希望
費用の分け方 借主との精算候補とオーナー負担を、根拠とともに項目別で確認する 契約上の負担確認と、再募集のためのオーナー支出を分ける
進める時期 作業前に現況を残し、回復範囲・負担を検討して発注内容を決める 補修・設備工事との順序を決め、仕上げ清掃の時期を置く

室内クリーニングという同じ作業でも、借主との精算を検討する場合と、オーナーが募集前の仕上がりを整えるために行う場合があります。壁紙の張り替えも、損傷の原因や使用期間、張り替える範囲によって費用の考え方が変わります。

国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による損耗や経年変化と、借主の故意・過失などによる損耗を分けて考えます。契約書と入退去時の記録、使用期間、損傷の原因や範囲を基に、借主との精算対象かを検討します。

クリーニング特約については、国土交通省のQ16で、負担の内容・範囲、通常損耗まで負担させる趣旨と具体的な範囲の明記または説明、費用の妥当性などを判断条件として挙げています。特約があるだけで有効・無効を一律に決めず、契約時の説明と合意の状況も確かめます。判断が分かれる場合は専門家へ相談してください。

清掃・補修・交換の範囲を見積の項目に結ぶ

水回りや床、窓まわりの汚れは、清掃で落とせる範囲を確認します。壁紙の破れ、床材の深い傷、建具の破損など、清掃では直せない箇所は補修や交換を検討します。設備が動かないときは、点検を依頼し、部品や本体の交換が必要かを確かめます。

場所ごとに「清掃・補修・交換・対応不要・保留」を記し、見積には項目、数量、単価、作業範囲を出してもらいます。同じ事業者へまとめて頼む場合も、借主との精算を検討する作業と、オーナーが次の募集のために選ぶ工事が分かる形にしておくと、発注と精算を進めやすくなります。

現況撮影、損傷確認、写真・記録確認、作業・費用整理、工程・清掃、募集準備の6場面を示すイラスト
現況記録から作業の検討、費用負担の協議、見積、工事・清掃、募集準備へと進めます。

借主との精算と募集準備の支出を分けて記録する

借主との精算を検討する箇所には、写真、入居時との差、契約上の根拠、使用期間を対応させます。費用負担の協議が続く項目は「協議中」として残し、工事が必要という理由だけで借主負担に決めません。国土交通省Q17でも、敷金から差し引く原状回復費用について、明細を示して説明することが案内されています。

オーナーが募集準備として選ぶ設備更新や内装変更は、その目的と予算を分けて記します。一つの箇所に両方の目的がある場合も、作業内容ごとに分けて見積を確認してください。

負担が決まらないときも、全工事を一律に止めるのではなく、必要な作業と費用負担をそれぞれ検討します。施工前の写真や状態の記録、見積を残し、当事者への説明・協議を進めながら発注する範囲と時期を決めます。

退去後の確認表

一つの場所・設備につき一行で記入します。写真番号と見積項目を対応させ、精算、発注、完了確認を同じ記録で追えるようにします。

場所・写真 状態・根拠 対応・費用区分 見積・完了・募集条件
玄関・廊下
写真番号/ファイル名
汚れ・傷・故障
入居時記録との差
清掃/補修/交換/対応不要/保留
精算候補/オーナー支出/協議中
見積項目・完了日
撮影日・募集開始条件
居室
写真番号/ファイル名
汚れ・傷・故障
入居時記録との差
清掃/補修/交換/対応不要/保留
精算候補/オーナー支出/協議中
見積項目・完了日
撮影日・募集開始条件
水回り
写真番号/ファイル名
汚れ・傷・故障
入居時記録との差
清掃/補修/交換/対応不要/保留
精算候補/オーナー支出/協議中
見積項目・完了日
撮影日・募集開始条件
設備
写真番号/ファイル名
汚れ・傷・故障
入居時記録との差
清掃/補修/交換/対応不要/保留
精算候補/オーナー支出/協議中
見積項目・完了日
撮影日・募集開始条件
その他
写真番号/ファイル名
汚れ・傷・故障
入居時記録との差
清掃/補修/交換/対応不要/保留
精算候補/オーナー支出/協議中
見積項目・完了日
撮影日・募集開始条件

「清掃・補修・交換・対応不要・保留」は作業の区分、「精算候補・オーナー支出・協議中」は費用の区分です。作業が決まっていても、費用負担が未確定ならそのまま記します。完了後は作業後写真と日付、募集情報の更新日を追記してください。

工事と仕上げ清掃の後に何を確認して募集へ進むか

募集を始めたい日から、写真撮影、仕上がり確認、清掃、補修・設備工事の予定を逆算します。見積を比べる際は金額とともに、現地確認日、資材の納期、発注期限、完了予定日を確認します。後の工事で再び汚れる場合は、仕上げ清掃を最後に置きます。

作業後は見積どおりの範囲が施工されているか、残材や汚れがないか、電気・水道・給湯・エアコンなどが使えるかを確かめます。募集用の写真と設備情報は、その時点の室内に合わせて更新してください。

工事中に募集する場合は、掲載写真が現況か完成予定の説明用かを明示します。工事内容や資材の納期が未定なら、入居可能日を無理に確定せず、見通しが立ってから案内します。

退去後の作業を相談するときに伝えること

ラフリレーションでは、入居者募集や退去立会い、清掃・原状回復のご相談を受け付けています。物件所在地、退去日、現在の管理方法、気になる室内の状態、次の募集を始めたい時期を、分かる範囲でお知らせください。作業や負担がまだ決まっていない箇所は、未決のままご相談いただけます。

賃貸・管理のページでは相談できる業務を、施工・清掃のページでは現地確認から提案・見積、施工、引渡しまでの流れをご案内しています。

賃貸管理の対応内容を確認する

https://ritera.co.jp/rent/

清掃・原状回復や施工の流れを確認する

https://ritera.co.jp/renovation/

具体的なご相談は、お問い合わせフォームの「賃貸管理相談」「リノベーション相談」「清掃相談」から内容に合うものをお選びください。どの区分が合うか迷う場合は、詳細欄に現在の状況をご記入ください。

退去後の作業について相談する

https://ritera.co.jp/contact/

参考資料

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン Q&A(Q1・Q5・Q16・Q17)」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000024.html

まずは相談する ↗